『オデュッセイア』を読み返した。
市場で幾度もサイクルをくぐり抜けてきた者は、実のところ誰もが自分だけの「オデュッセウスの旅」を経験している。旅立つとき、誰もが終着点は城を攻め領地を奪う凱旋だと思っている。だが、完全な強気相場と弱気相場の引き裂きを経て初めて、ようやく悟るのだ。この航海は最初から最後まで、外へ向かう征服ではなく、内へ向かう帰還なのだと。
トロイアが陥落したその瞬間、オデュッセウスは木馬の計略によって天下にその名を轟かせた。だが、勝利がもたらした驕りは、神々と規則への畏敬を自らの手で引き裂かせ、それによって十年にも及ぶ海上漂泊が始まった。
市場もまた同じだ。市場は誕生したそのときから、生存の法則を書き記している。サイクルの循環を畏れ、リスクの境界を厳守し、認識の限界を認めること。しかし、幾度かの好況で得た暴利は、いつも人に万能感という幻想を芽生えさせる――規則など初心者の足かせにすぎず、自分はすでに局面を打開する近道を身につけたのだと、思い込ませるのだ。
こうしてポジション管理を放棄し、レバレッジを最大まで高め、感情を追いかけ、原則を踏みにじる。本当に一人のトレーダーを打ちのめすのは、決してある一度の客観的な判断ミスではない。ある日を境に、自分は確率と規則を超越できると信じ始めることなのだ。
この遠い航海は、至るところが危険な浅瀬だ。
突発的なブラックスワンは船団を
原文表示