Binanceの創設経緯と世界的な拡大

1. Binance設立の背景

Binanceは、Changpeng Zhao（CZ）氏とそのチームによって2017年、中国・深圳で設立されました。安全性、信頼性、効率性を備えた暗号資産取引プラットフォームの提供を目指しスタートし、BitcoinやEthereumなど主要な暗号資産の時価総額が急騰していた業界の成長期と重なっています。Binanceは、低コストの取引手数料や優れたユーザー体験によって、ユーザー数を急速に拡大しました。

2. 中国から日本への移転

2017年末、中国政府は暗号資産取引所の禁止を含む厳しい規制を導入しました。これを受けて、Binanceはグローバル業務を継続するため香港へ移りました。その後、香港でも規制の不透明さが増す中、2018年には本社を日本へ移転。しかし日本でも暗号資産業界への監督が強化され、さらなる規制対応が求められたため、最終的にグローバル本社をマルタへ移すこととなりました。

3. マルタ時代のグローバル展開

2018年、Binanceは世界各国の規制圧力に対応しつつ、EU加盟国であるマルタの先進的な暗号資産政策を活用するため、本社をマルタへ移しました。この戦略的判断によって、Binanceはヨーロッパやその他の国際市場で急速に事業を拡大。従来の現物取引に加え、先物取引や証拠金取引、NFT（エヌエフティー）、分散型金融（ディーファイ／DeFi）など多様なサービスも展開しています。

4. 分散型構造とグローバル展開

Binanceのグローバル展開は、分散的な業務構造が特徴です。特定法域への依存を避けるため、各国・各地域に子会社や支店を設置し、柔軟な対応体制を整えています。これにより急激に変化する規制環境への迅速な適応と、グローバルな競争力の維持が可能となっています。Binance.USは米国市場を担当し、中国、日本などでは現地チームが運営を担っています。

5. 最近の動向と今後の展望

Binanceは近年、中東およびヨーロッパへの投資を強化しており、特にアブダビのMGX Fundから20億ドルの資金調達を実現しました。この戦略的な投資により、Binanceは世界市場でのリーダーシップをさらに強化しています。今後は分散型金融（ディーファイ／DeFi）やNFT（エヌエフティー）分野でのイノベーションを推進し、各国で強まる規制にも積極的に対応していく方針です。