2025年9月下旬現在、OCBC株価はSGD 16.44~SGD 16.49の範囲で推移し、1日の値動きもSGD 16.42~SGD 16.58と限定的な値動きにとどまっています。過去1年ではSGD 14.35前後の安値からSGD 17.93近くの高値を記録しており、銀行株が金利サイクルや市場環境の変動に強く影響されていることがわかります。
OCBCは、株価収益率(P/E)が約10倍、株価純資産倍率(P/B)が約1.2倍で取引されており、割安でも割高でもない適正な水準といえます。他の主要シンガポール銀行と比べても、OCBCのバリュエーションは中間的な位置づけです。
大手投資銀行や調査会社が示した最新の予測によると、OCBCの目標株価はSGD 17~SGD 20の幅に収まっています。最高の予想値はSGD 20.40で、20%超の上昇余地がある一方、保守的な見方ではSGD 15.80の目標値もあり、現状の株価が妥当水準に近いことが示唆されています。市場予想の平均はSGD 17.1~SGD 17.5で、現在水準から4~6%程度の上昇が期待されています。
アナリストはOCBCの将来性を前向きに評価しつつも、上値余地には限りがあると見込まれます。長期投資家にとっては安定したリターンが期待できる一方、短期での急騰は見込めない状況です。
OCBCの最新の決算および戦略方針は市場の注目を集めています。経営陣は2025年の貸出成長率が中程度の一桁台へ鈍化すると見込んでおり、2024年の8%から大きく減速する予想です。これは収益拡大ペースの鈍化を示しています。また、純金利マージン(Net Interest Margin)は2.2%から2.0%へ縮小する見通しで、金利環境の変化による収益圧力が高まっています。
一方、OCBCは約SGD 2.5億規模の資本還元策(特別配当や自社株買い)を発表し、株主リターンが向上することが期待されます。また、USD建てデジタル債券による資金調達施策を導入し、国際的な資金調達力強化やフィンテック・デジタルアセット分野での展開を進めています。
OCBCが直面する主要リスクは、世界経済の減速、金利変動、地域市場の不透明さです。米国の高金利が長期化すれば純金利マージンが圧迫され、アジア経済の減速は貸出需要の減退につながり、OCBCの成長性が制約される可能性があります。
新規投資家は、OCBCの投資判断に複数の観点からアプローチできます。SGD 16.5以下で購入できれば、コンセンサス目標との比較で一定の安全域が見込めます。OCBCは安定した配当方針を維持し、特別配当や自社株買い施策もあり、堅実なリターンを求める投資家には魅力です。銀行利益の主なドライバーである金利動向や貸出需要は、継続的な注視が求められます。加えて、DBSやUOBなど同業他社とバリュエーションや成長性を比較することで、より合理的な投資判断が可能となります。