#$MU シティがMicronの目標株価を引き下げ、理由は成り立たず
8月7日、シティはMicronの目標株価を1,400ドルから1,150ドルに引き下げ、投資判断は「買い」を維持した。10日後、UBSはMicronの経営陣に同行してロードショーを終えた後に作成したレポートを発表し、目標株価を1,625ドル、こちらも「買い」とした。両社の差は475ドルに達する。しかし両社の業績予想を見比べると、ほぼ同じだ。UBSはMicronの2028年の1株利益を148ドル、シティは148.60ドルと見積もっており、差は1%未満。Micronがどれだけ稼げるかについて、両社に意見の相違はない。違うのは、これらの利益に何倍の評価を与えるかだ。
01 シティはいったい何を削ったのか
シティのこのレポートは8月7日に発表され、アナリストはAtif Malik、James Bowlin、Kelsey Chiaの3人、全14ページだった。価格の基準は8月6日終値の881.47ドル。新たな目標株価1,150ドルは、2027年暦年の予想1株利益の8倍に相当する。それ以前は10倍だった。業績予想の欄はほとんど動いていない。2027会計年度は1%、2028会計年度は2%引き下げただけだ。つまり、シティのMicronがどれだけ稼げるかという見方はほぼ変わっておらず、変わったのは、市場がこれらの利益にいくら支払う意思があると考えるかだ。目標株価は17.9%下がったが、そのうち利益予想の変更によるものは1~2%にすぎず、残りはすべてバリュエーション倍率の圧縮によるものだ。この判断を支えているのが、DRAM価格のシナリオだ。
シティは上昇率が四半期ごとに縮小すると予想している。8月期はまだ20%超、11月期は10%未満、来年2月期は2%、5月期にはゼロとなり、2027年下期には5%下落に転じるという。
NANDの動きも似ている。それに対応して、粗利益率は約85%から約75%へ低下する。レポートの第4.4節には、要約にも入っておらず、どの転載記事でも触れられていない細部が隠されている。MicronのDRAM生産量の約4割は長期契約を締結しており、4大メモリメーカーの中で最も少ない。残りの約6割は市況連動で、SamsungやSK hynixよりもエクスポージャーが大きい。
02 UBSが経営陣から聞いたのは異なるストーリーだった
8月17日、UBSは「経営陣と同行して」を発表した。このレポートは、Micronの経営陣に同行して投資家向けロードショーを一巡した後に作成されたものだ。投資判断は「買い」、目標株価は1,625ドルで、シティを41%上回る。両社の相違は主に3点に集中している。
一、価格動向についての見方が完全に正反対だ。シティはDRAMの上昇率が四半期ごとに鈍化し、来年半ばにゼロとなり、下期には下落に転じると見ている。UBSが記録した経営陣の発言は、「2027年暦年の需給は2026年よりも逼迫する」というものだった。Micronが現在対応できているデータセンター顧客の需要は半分にも満たず、HBMの平均販売価格はなお上昇している。UBSは生産能力の拡大時期も示した。2027年の増産能力は主に2つの既存工場の拡張によるもので、規模は大きくなく、本格的な量産開始は2028年まで待つ必要がある。供給圧力は1年後ろ倒しになる。シティは「ピークが近い」と言い、経営陣は「まだピークではない」と言う。わずか10日間で、価格見通しの線が真逆に引かれた。
二、長期契約のカバー率について説明が異なる。シティは、Micronの生産量の約4割が長期契約でカバーされ、4社の中で最も少ないとしている。UBSは今回初めて、Micronの戦略顧客契約の構造を分解した。目標は、売上高の5割超を契約で保護すること。そのうち約1割は「テイク・オア・ペイ」(顧客は引き取らなくても支払いは行うが、価格は固定されない)で、さらに約4割は固定価格または価格帯付きだという。シティは生産量ベースで計算し、UBSは売上高ベースで計算しているため、両方の数字を直接比較することはできない。しかし、両社の主張の方向性は逆だ。シティは「固定されている量が最も少ない」と言い、UBSは「売上高の5割超が3層構造で保護されている」と言う。
三、バリュエーションの基準が丸1年異なる。シティは2027年暦年の利益の8倍を使っている。UBSは2028年暦年の1株利益148ドルの11倍を使った。一方、シティ自身によるMicronの2028会計年度の1株利益予想は148.60ドルだ。シティの利益予想にUBSの倍率を掛けると1,635ドルとなり、UBSの1,625ドルとの差はわずか0.6%だ。
両社の目標株価は475ドルも違うのに、利益予想はほぼ同じで、相違はすべて「どの年を見るか」と「何倍を付けるか」にある。
03 両社には利益相反がある
シティが自ら開示している利益相反の水準は中高程度で、投資銀行業務による報酬と重大な財務上の利益が含まれている。
UBSについては、さらに注目すべき点がある。UBSはMicronの0.5%超の空売りポジションを保有する一方、Micron株のマーケットメーカーでもあり、それにもかかわらず「買い」の投資判断とウォール街最高の目標株価を示している。一方は投資銀行業務を抱えながら目標株価を引き下げ、もう一方は自ら空売りを行いながら目標株価を最高水準に設定している。両社とも利益関係は不透明だ。
04 シティの今回の引き下げは根拠に乏しい
利益予想は1~2%しか変更していないのに、目標株価は17.9%引き下げた。引き下げられたのはMicronの収益力ではなく、シティが市場に与えるべきだと考えるバリュエーション倍率だ。これは主観的な判断であり、事業について新たに発見された事実ではない。
さらに重要なのは、この判断を支える価格前提――DRAMの上昇率が四半期ごとに鈍化し、来年半ばにゼロになるという見方――が、レポート発表から10日後にMicronの経営陣によって面と向かって否定されたことだ。経営陣は、2027年は2026年より需給が逼迫し、新たな生産能力の稼働は2028年まで待つ必要があり、現時点ではデータセンター需要の半分すら満たせていないと述べた。シティにはもう一つ内部矛盾がある。一方では「買い」判断を維持しながら、業績予想は市場コンセンサスを13~15%下回る水準に抑えている。Micronを評価する理由は株価が割安だからだが、「会社がさらに稼げる」という点については、自社のモデルが支持していない。1,150ドルはむしろ保守的な下限に近い。しかし、UBSの1,625ドルも額面どおり受け取ることはできない。この目標株価は5月26日に設定されたもので、3か月間更新されていない。3か月も調整されていない目標株価は、分析というより一種の意思表示に近い。まして、この価格を示した機関は自らMicronの空売りポジションも保有している。
サマリーで確実に言える結論は一つだけだ
今回シティが引き下げたのはバリュエーション倍率であり、ファンダメンタルズではない。シティに追随して保有株を減らすことは、Micronの事業の変化ではなく、シティのバリュエーションの好みに従うことになる。Micronを引き続き保有すべきかどうかについては、3つのレポートすべてが同じ重要な問題を避けている。HBMの生産量を、長期契約による4割のカバー率に含めているのかどうかという問題だ。この空白によって、Micronの一般的なDRAMがどれほど大きな価格エクスポージャーを持つのかが決まる。3つのレポートはいずれも答えを示していない。
これから注目すべき点
① 次回のMicron決算で長期契約のカバー率が4割を明らかに上回ると開示されれば、「4社の中で固定されている量が最も少ない」という主張は成り立たなくなる。
② DRAM価格が本当にシティの描いた線どおりに進み――11月期の上昇率が10%以内に低下し、来年2月期には2%しか残らないなら――経営陣が間違っており、シティが正しかったことになる。
③ UBSが次回の更新でも1,625ドルを据え置くなら、3か月間変更しなかったのは信念の表れだが、6か月変更しないなら追跡していないということになる。$MU